9月22日。台風15号の影響で岡山から少し遅れてぶどうを乗せたトラックが到着しました。蔵の中にマスカットの入ったコンテナを持ち込んでしばらくすると、この品種の香りがあっという間に充満してきます。マスカット臭?、いや麝香臭? 「そうそうこの香り、去年もこんな感じだった。」思わず1年前の記憶を呼び戻すほど強い香りのインパクト。
台風の影響で岡山からの輸送は困難を極めましたが、ガラスハウス栽培のぶどうですのでぶどうそのものは至って健全です。価格が高いのが厳しいところですが…
日本では食用に供されるこの品種、ルーツはエジプト。学術的にはヴィニフェラに属するそうです。古くは、エジプトとヨーロッパの交易で取引され、クレオパトラにも重用されたぶどうらしいです。
この品種のワインは、絶対的な香りの個性が存在感を際立たせますが、大粒の品種ですので、造り手泣かせの面もあります。
1.いつも小粒品種の仕込みに使用しているプレス機は目詰まりを起こす懸念もあり
うまくプレスできない可能性がある
2.大粒で果肉部分がが多いことからタンパク質が多く、澱下げが困難だったり、
瓶詰後、ワインがタンパク混濁する可能性が高い。
2の問題を解決するために、この種のワインを製造する際には、ベントナイトなど
の澱下げの吸着剤を多めに使用したり、濾過の方法や回数を増やしたりすることが
一般的には多いようです。
フェルミエでは、昨年、圧搾しない造りを行う(フリーラン果汁のみでワインを造る)ことでこの2つの問題を解決できないかと考えトライしました。結果は、1は問題ありませんでした。2は、フリーラン果汁のみを使用しても、仕込んで半年を経過した頃からタンパク混濁してきました。
昨年の経験を踏まえ、今年はどんな造りにチャレンジしませうか?
極力、自然な造りを行いたいので、フェルミエの他のワインと同様、自然(重力のみにまかせた)な澱引きと、濾紙を使用した最低限の濾過にとどめます。今年もタンパク混濁するかもしれませんが、それも自然なものですから「良し」とします。それがフェルミエのワインです。
頭が痛いのは、マスカット・オブ・アレキサンドリアはぶどうの価格が高い上に、フリーラン果汁しか使用しないことで、恐ろしく原価が高いワインになってしまうことです。

(写真は1年前のマスカット・オブ・アレキサンドリア)